獣☆ぷろじぇくと!

人外+女の子のイラスト、漫画が多め。【おそ松さん・電凹・サンレッド・まりんとメラン】等

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嫌な人-短編小説

ちょっと長いので、「続きを読む」からどうぞ。





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「アンタさぁ、何であんなに酷い事云ったの?」

生クリームをスプーンに乗せながら、私は上目遣いで尋ねた。
昼過ぎのカフェテラスに人は少ない。
ましてや平日ならば当たり前であろう。
「酷い事―――云ったっけ?」
目の前の女性は、首を捻りながらウエハースに齧りつく。
そのまま、ぽきん、と粉を撒き散らしながら折った。
「そうよ。マキは彼氏と別れたばっかりだってのに、アンタは――」

『それは、マキに魅力が無かったから、振られたんでしょ』

「――と来たモンよ」
おかげで私は、暫くマキを慰める役回りだった。
それを責めている訳ではない。理由を知りたかった。
彼女とはかれこれ―――そう2年か―――の付き合いだったが、
いまだに常識を逸した行動には舌を巻く。
まぁ、それが面白くて付き合っているわけだが。

何度か首を振りながら、ウエハースに、ピンクのアイスを絡め取る。
口へ運ぶと、ベリーの酸味とクリームの甘みが、絶妙なバランスで調和しているのが分かった。
 彼女は、ふと、囁くように云った。
「私はね――――うんと嫌な人になりたいの」
自分に言い含めるように、ゆっくりと。優しく。
「何で?」
「優しい人には、なれないから」
吐息が漏れるくらいに軽く、そして重みを持った言葉。
「だって、私は人の期待には答えられない―――何時かきっと、失望させる。
『何が』優しくて、『何が』厳しいのか、分からない時が来るから」
アイスが器の外にまで溢れ出しそうだった。
ゆるゆると溶け出しているのが、眼の端に写った。
「だから『自ら』真逆に?
どうして、そこまで優しく―――ううん。嫌な人になりたいの?」
 純粋な疑問ではなかった。
答えは聞くまでもなく、私自身分かっている問いだった。
それを見透かすかの如く、彼女はにっこりと微笑む。

「そうしたら、みんなの心に残るじゃない?

なんていうのかな……人って、嫌な事や嬉しかった事って良く覚えているでしょ?
特に、嫌いなモノは、いつまでも頭の片端に引っかかるのよね」


「残って……――――どうしたいの?」
 スプーンをテーブルの端に寄せたまま、口へ持っていく事も忘れていた。
 彼女は、ヨーグルトにチョコレートシロップを混ぜ、マーブル状にしている。
視線はあくまでパフェだ。
「人が生きている意味って、何だと思う?」
 突然の問いかけ。
質問者は此方だという事すら忘れ―――私は、息を詰まらせる。
「意味って……―――例えば、社会に貢献する、とか。誰かの役に立つ、とか」
 いきなり彼女はパフェを片隅に押しのけ、私に向かって身を乗り出した。
笑いを浮かべているものの、真剣そのものだ。
突きつけられた視線は、私の喉元を押さえつけ、呼吸を止める。
「そうよね。でも、もっと本能的な部分。奥の、奥の、さらに奥」
甘い言の葉が、私の耳元に寄せられる。
ドレンチェリーを煮詰めたよりも、もっと奥深く、甘い。甘い味が。
舌が蕩けてしまうんじゃないだろうか。
そう思い始めた時に、彼女の口調が変わった。
「長く生きたい。欲を満たしたい。――――子孫を残したい。
私は、meme(ミーム)を残したいの。私が知り合った人、全てに」
ミーム。それは文化的遺伝子。
周りの人々に伝染する、知識。感染する、概念。浸透する、思想。
「でぃ…DNAじゃ駄目なの?」
「そんな狭い範囲じゃなくて、もっと広く、深くよ」
両手を広げて、天を仰ぐが如く。
大層芝居がかった仕草も、しかし、ここが一瞬舞台なのかと思うほどに。
彼女が俳優で、私が観客の、舞台。
 だが、頭を振って思考をリセットする。
「……それとマキを傷つけた事は別よ。後で謝ってね」
「『アレは本音じゃなかったの~。アナタを励まそうとしたのよ』――って?
それじゃ私、単なる天然っ子ちゃんじゃない。違うのよ、だから…」
ぷーと頬を膨らませる彼女。
それを軽く人差し指でつついてみた。

「そんなコトしなくても。もうミームは残せてるわ」

「私の、ココロに」


思わず口を滑らせたが、不思議と恥ずかしくはなかった。
戸惑った顔をしたまま、固まっている彼女。
う。あ、呆れてるかな…?

やがて、氷が溶け出すように、表情が和らいだ。
にんまりと口の端を持ち上げる様は、無邪気な子供そのままだった。

あぁ、そうか。

貪欲なまでの知識欲。終末を知らぬ好奇心。
全てがゲームで、全てが演劇。
地に足着かぬ、浮世離れした雰囲気も、行動も。
私は彼女のこういう部分が好きなのだ。
彼女の世界を覗きたい。入り込みたい。住人になりたい。
その思いに駆られ続けている。

だから――――離れられない。

ずっと。


 カフェのレシートを掴み、彼女はそのまま立ち上がった。
後で清算するわよ、と言うと、ひらひらと片手を振って答える。
「いいよー。奢っといたげる」
振り返り、再びあの笑顔を見せた。
「ありがとうね」
「何よ、急に。気持ち悪い」
私が照れ隠しに軽口を叩くと、彼女は笑い声を上げた。



「嫌な人は、暫く休業するわ」



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確か何ヶ月か前に書きかけで放置していた物。
まとまり無いなーという気はするが、
自分の感覚としては、何かしっくり来る。という変な小説。

| SS | 13:12 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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